社長のための経営のツボ 第4回
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中小企業の後継者育成法 ―四・三・三・三年制度の勧め─


中小企業のオーナー社長の経営課題の一つに、後継者問題があります。この内容は、幅広く、かつ奥が深く、本当に様々の課題が挙げられます。そのうち今回は「後継者の育て方」について、私の考えをご披露することにいたします。

私は理想的な後継者育成法として、「四・三・三・三年制」というのを提唱しています。


■大企業に四年間勤務させよう

学校を出ましたら、大企業を選びます。そこで四年間は勤務させます。

何故大企業を選ぶのか、それは次の狙いがあるからです。

大企業選択のねらい

  1. 大企業での仕事を通じて人脈を作る。
  2. 大企業の組織運営を知る。
  3. 大企業と、中堅、中小企業との事業領域の接点を知る。

まず1の人脈です。企業の仕事は、最終的には人と人との信頼関係で成り立ちます。大企業に入社して、上司、先輩、後輩、そして取引先関係者、官公庁関係者と、様々な方々と誠心誠意もって付き合い、それらの人々から仕事のやり方や人生観その他を学びとるのです。この人たちは、のちに中小企業にもどったとき、何かにつけて良き助言者であり支援者になってくれるものです。

2の組織運営ですが、大きな組織を動かすには、それなりの仕組みが必要です。中小企業はとかく仕組みに適切さを欠くことが多いのです。勿論大企業の仕組みが全て良いものではありません。要は仕組みで働くメカニズムを学びとることです。

3.大企業は今日、なりふり構わず中堅、中小企業の領域まで、仕事の領域をひろげる傾向が見られます。しかし大企業は、基本的に資本力の大きさ、強さを活かした経営をせざるを得ないのです。したがって、中堅、中小企業の領域に入って事業活動をしようにも、そこに自ずと限界が出てくるわけです。大企業に勤務していて、どの辺りが大企業の事業領域かをつかむことにします。


三年間は中小異業種に勤務する

大企業から中小企業にはいります。ここではオーナー経営というものがどのようなものであるかを学びます。多くはワンマン経営を知ることになるでしょう。大企業の経営者は、個人資産を担保に提供することは、まず、ありません。中堅、中小企業はそうはいかないのです。それだけの理由でワンマン経営をするわけではありませんが、自分があらゆることに責任をとらねばならないという条件が、多分にそうさせるものがあります。

またどんな業種でも経営の原理原則は変わらないことを学びます。すぐに実家と同じ業種を選びますと、「わが業界は特殊なところがある」と思い込んでしまうからです。業界には「特徴」はありますが、「特殊」は稀なのです。


三年間は同業種に勤める

その次は、同業種です。ここでは実家と同じ業種の仕事のやり方を学ぶのです。どこの会社も悪いところだけではありません。必ず良いところがあるものです。その時点では良いところがわからなくても、後に実家の仕事を継いだときに、同業者でのやり方の良さがわかってきます。


自社に勤務して三年で経営企画を担当

自社に戻ったら、直ぐに社長見習いはあまりお勧めできません。まず一年は下積みです。現場です。一般にいえることですが、収益を生み出す仕事は、額に汗をかくところ、足を棒にするようなところにしかないものです。その厳しさをしっかり体験する必要があります。二年目は総務、経理など事務の仕事です。ここでは事務所の仕事が、販売や生産やその他収益を生み出す業務に、役だっているかどうかをつかむのです。現場体験がありますから、サービスの在り方もわかるのです。次の三年目で、自分ならばこの会社をどのように経営するかを考えるのです。いわゆる経営企画業務を担当するとよいのです。この時点で、いわば「卒論」を書くことになります。大企業をふり出しに異業種、同業種、自社二年を勤めた集大成です。そして、この年か、あるいは翌年に、はじめて「取締役」とするとよいでしょう。

この「四・三・三・三年制」は一つの望ましい在り方を示したものです。この通りに行えなかった場合は、このコースの中で欠けたものを、後に補っていただくとよいかと思います。


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