<日本実業出版社 「企業実務」2000年12月号 P67 掲載>



携帯電話編
(株)会社業務研究所 客員研究員
藤永伸一
電子メール編
中小企業インターネット協議会事務局 次長
須賀明良

 
携帯電話・Eメール管理規定事例集(編集部)



 ここからは、編集部が集めた各社の規程を紹介しよう。携帯電話と電子メールを「通信機器」と捉えて規程を作成するところも多い。
 業務用ソフトウェア開発を行なうA社(横浜市 従業員=21名)は、ことし9月に通信規程をつくった(規程1)。いままでは電子メール、携帯電話に関しては、従業員個人のモラルに任せていたが、組織が大きくなってきたため会社として細かい事柄にもルールを定めようという流れのなかでつくられた。
 規程には、システム管理の担当者(2名)が各部にヒアリングを行ない、現場の声を反映させた。作成には2週間程かかった。
 規程には「個人的な内容については個人のメールアドレスを利用する」とあるが、これは、なかなか自宅に帰れないこともある開発担当者に配慮したものだ。個人アドレスであれば、会社から個人的なメールを交換してもよいことになっている。また、掲示板の利用について言及しているが、これは、開発担当者の技術情報の収集に使われるためだ。
 マナーについては、電子ネットワーク協議会のホームページが紹介されている。なかなか社員教育に時間を割けないという企業は見習いたいところだ。
 規程に罰則は設けていないが、どんな損害が出るかわからないので、ケースバイケースで処理していきたいとのことだ。
 日本電気(株)では、メールを含めた情報機器の利用に関して「電子メディアの利用規程」を定め、それをもとにハンドブックをつくり全社員に配付している。
 電子メディアの利用規程ではメールや携帯電話の不正となる使い方や、問題のある使い方があればメールの内容を会社がチェックできることなどが定められている。
 社員用ハンドブックのエチケット編(規程2)は利用上のマナー、セキュリティ編は情報の外部漏洩等に気遣った内容で、イントラネット内でメールをやりとりする、技術情報に関するメールは社内でも暗号化するなどと定めている。メール内容の流出は、会社の情報資産の損失につながる。そのためセキュリティ教育もしっかり行なうということだ。
 一方、携帯電話の管理規程は、「従業員就業規則」の「会社設備を私用で利用しない」といった項を当てはめているが、iモードに関しては、昨年11月に規程(規程3)を設けた。メールも使える電子メディアとして、個人利用の牽制、盗聴防止などセキュリティ保護の点で必要と判断した。
 これらの規程は社内の情報化に詳しい人などを集め、現場で蓄積されたノウハウを活かした。続々と登場する便利な新メディアの運用とセキュリティのバランスをいかにとるかが今後の課題という。
 紳士服販売業の(株)モリシマ(名古屋市 従業員=30名)は、携帯電話利用料の補助金について規程を設けている。(規程4)。個人所有の携帯電話を業務利用していた社員が、その分の通話料も個人負担していたケースがあったため、不公平の是正を図ることが目的だ。営業担当者と管理部で原案をつくり役員会で承認を得た。
 補助金の額が人によって違うのは、いままでに業務に使った頻度を考慮した。「特別な事情のある場合は社長および役員の承認において決裁する」という一文はイベントなどで利用頻度が多くなったり、逆にまったく使わないケースを想定し、補助金額の変更が臨機応変にできるよう配慮した。
 各社とも独自の必要性に基づいて、規程を作成しているところに特色があるといえる。これらを参考に自社に合った規程作成を心掛けていただきたい。


規程1 A社の通信機器利用規程

通信機器利用規程

 社内のコンピュータおよび通信機器の利用に関して下記のとおり規程を定める


■社内電話の利用について
職務に伴う業務のために利用すること
個人的な利用については個人利用料金受けに電話機に表示された金額を投入すること
最高執行責任者が必要と認める場合、管理者は誰がどのような内容の会話をしているかを確認することができる(※)

■個人の一般加入電話・携帯電話の利用について
職務に伴う電話の利用については月々の利用明細書の写しを添付し精算書を提出すること。所属上司の承認を受けた後、会社から請求金額を現金で支払う
会社から支給された携帯電話の個人利用については個人利用料金受けに利用金額を投入する

■電子メールの利用について
会社から支給されたメールアドレスは職務に伴う業務のために利用すること
個人的な内容については個人のメールアドレスを利用する
最高執行責任者が必要と認める場合、管理者は誰がどのような内容のメールを送受信しているかを確認することができる

■ウェブページの閲覧について
基本的に企業活動に関係する情報収集のために用いること
現在の担当業務内容に直接関係のない情報収集については勤務時間外にすること
違法なデータの閲覧・収集等を行なわないこと
掲示板等のサイトに書込みを行なう際は内容に注意すること。相手サイトにはわが社から書込みが行なわれたことが記録される
最高執行責任者が必要と認める場合、管理者は誰がどのページを参照しているのかを確認することができる

■一般的なマナーについて
電子ネットワーク協議会(http://www.enc.or.jp/)の資料を読むこと

この規程は2000年4月1日より施行する
※業務上同社で利用している通話内容の自動録音装置で確認する


規程2 日本電気のハンドブック
(エチケット編・抜粋)
【目次】
1 ネチケット
  1.1 ネチケットとは
  1.2 電子メール受信時のマナー
  1.3 電子メール発信時のマナー

2 電子メール利用上の注意
  2.1 電子メールで送付できる文書
  2.2 電子メールサイズ
  2.3 電子メール本文に
   使える文字と使わない文字
  2.4 Signature(署名)をつけるとき

1 ネチケット/Netiquette
 ネチケットとは「ネットワークを利用するうえでのエチケット」という造語です。電子メールも対面コミュニケーションもエチケット(マナー)の基本は同じです。「自分がイヤだと思うことを相手にやらない。」

2 電子メール利用上の注意
(◆:必須/◇:推奨)

  
パスワードは必ず設定し、ときどき変更してください
  
コンピュータウイルスに注意しワクチンで適宜チェックしてください
(定期的にチェックするかウイルスチェックプログラムを常駐させておくと便利です)
  
誤って無関係の人にメールを送ってしまったり、間違った内容のメールを送ってしまった場合はお詫びのメールを出しましょう
  
「取扱注意」指定の文書から情報を引用する場合は、必ず「取扱注意」を明記して、配付範囲を十分に注意してください
  
なんでもかんでも転送してはいけません
(ある程度、情報のフィルタリングをしてから相手に転送する、内容もダイジェストにして渡すなどの配慮をしましょう)
  
社外ネットワークへのメールの自動転送は、エラーなどによってメールの内容が社外の第三者に漏れる可能性があるため、注意してください。特に、すべてのメールを自動転送してはいけません
  
役職者は、自分のメール宛名を電話表に必ず記載してください。さらに役職者に限らず名刺にはメールアドレスを記載するようにしましょう。また、発信文書やプレゼンテーション資料にもメールアドレスを記載するようにしましょう
  
メール受信者の画面の見やすさを考慮して、本文は1行を最大半角72文字、全角36文字までで改行を打ちましょう
  
CC(カーボン・コピー)を活用して、関係者との情報共有に努めましょう。特に他部門とのやりとりでは、上司にCCを送るなどの配慮をしましょう
  
長時間文書作成したりメールを読む際は、極力オフラインの状態で行ないましょう
(電話回線使用のような通新料金が従量制の場合は経費削減になります
  
不要なメッセージは、ホスト・サーバー資源の有効活用やコスト削減の観点から自分の端末にセーブするか削除して常に文書の整理を心掛けましょう

規程3 日本電気の
    iモードに関する規程
(抜粋)
iモードの業務利用における基準設定の件

1 利用範囲
(1) メール機能
社内の各メールシステムとのメール送受信および転送機能の利用
(2) 情報コンテンツ(WWW)の検索機能
(3) 電話としての利用

2 利用基準
(1)  業務以外の目的でiモードを利用することは禁止します。また、iモード機能は1項の利用範囲以外は使用しないものとします。(例:私用メール、モバイルバンキング、他プロバイダーのメールサービス)
(2)  社内メールをiモードへ転送したり発信する際は、各部門の責任者の了解のもとに、情報漏洩に十分に留意して利用するものとします。特にメールを自動転送する際は、転送条件を指定して利用することを推奨します。また、他人にメールが転送されることがないように自動転送の宛先設定は十分注意し、正しく転送されることを確認してください。
(3)  メール機能を使う際は「電子メール利用ガイド」を遵守して利用してください。また企業秘密の取扱いについては「企業秘密管理規程」に従ってください。
(4)  iモードロック機能を使って他人にメール等を見られないようにする機密保護を行なってください。その際のパスワードは、初期値を必ず変更して使用してください。
(5)  盗難や紛失の際にメール内容を見られないように、メールは普段からこまめに削除するようにしてください。また、盗難や紛失の際には主管部門へ速やかに連絡してください。

3 その他
 iモードの利用料金は通話時間ではなくパケット通話料(画面情報量)で課金されます。携帯電話ごとの通話料金を社内に順次公開しております。利用用途が不明なときは、各部門の要請に応じて明細調査を行なう場合があります。

規程4 モリシマの補助金管理規程

補助金額 対象者
10,000円 杉田(会社所有)
8,000円 平田・渡部・池田(会社所有)
5,000円 萩原・藤田・梅本・井川(個人所有)
3,000円 山田・川田・太田・山本(個人所有)
※対象はすべて営業社員(仮名)

現在会社からすでに携帯電話を貸与している4名について、その支給額の上限を超えた場合は経費戻しとして経理に差額分を支払う
個人で所有している者については、手当として毎月の給与に加算する
その他特別な事情のある場合は社長および役員の承認において決裁する
2000年6月度から実施する

Copyright(C) 2000 藤永伸一・須賀明良




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