昔の「福利厚生」が今は「経営目的」達成の「仕掛け」役
組織内にメリハリと緊張感を生む社内行事&セレモニーの考え方と運営法
 


■“社内行事”&“セレモニー”今昔

 経営方針発表会、慰労(安)会、社員旅行、創業記念日、福利厚生、その他たくさんの行事や施設運営制度があります。冒頭にふれましたように、これらは従来は安定した終身雇用制に基づいた「慰労会」「永年勤続賞」「運動会」など、「福利厚生的な意味合い」が強いものでした。今は、「経営方針の徹底化の1つの手段」として取り行われることに、その目的は変わってきています。行事自体の開催も、経費節減、従業員の意識の変化もあり、減っています。厳しい経営環境にあわせ、その時代時代にあわせて、目的は変わるものなのです。今では、経営方針にそって「社員・パートアルバイトの業績をアップする」「組織活性化する」「従業員のやる気を引き出す」よう、お金をかけずに、しかも効果的に行われることが求められています。次に、先に用語定義をした「制度」と「仕掛け」について2社事例をあげましょう(データは2002年12月現在)。念のため申し添えますが、両社とも良い業績をあげています。

1. こんなやり方もある-方針を正しく理解させ、周知徹底させる実例1−アルケア(株)

 私の関与先企業で、アルケア(株)(創業1955年、本社東京、資本金9000万円、代表取締役社長・鈴木訓夫氏)という会社があります。「メディカルケア、ホームヘルスケア、スポーツケア分野の医療機器・材料の開発、製造販売」を手がけている会社で、日本を代表する医療福祉の中堅企業(BIGよりBEST)をめざしています。経営理念に「鬼手仏心」を掲げ、「個人としての幸せ(仏心=51%)と企業としての利潤追求(鬼手=49%)の共存」で、まさに生き生き人間集団という会社で、求職者にも人気のある会社です。昨年3月には、「千葉県経営品質賞奨励賞」を受賞、その他にも97年には某新聞社の「元気印企業大賞奨励賞」、93年には「中小企業長官賞」等々を受賞しています。


(1) 経営方針発表会

 この会社の年中行事のすべて、社員(333名)、パート(96名)の全員参加でなされます。同社の経営方針発表会は、他の企業同様、売上目標を掲げますが、そのとらえ方が変わっていて、社員のやりがいにつながっています。
 通常の会社ですと、経費の中に人件費が含まれていて、企業の存続に必要な利益=売上目標−(原材料+経費)となります。「会社の利益を獲得する」ための「売上目標」なのです。ところが、同社では、経費の中に人件費は含まれていません。販管費の中にも入っていません。会社存続のための利益+全人件費=売上目標−(原材料+経費)なのです。つまり、めざすは、全人件費+会社存続のための利益なのです。経営方針発表会では、社員、パートの前で、今期の目標は「人件費+会社存続利益がいくらいくらです」とはっきり掲げます。「人件費」と「会社存続利益」には、配分基準があります。それを常に基準指標にしているわけです。賃金についての自己実現は、このように公開されており、これに業績評価が加えられ、従業員のやりがいにつながるわけです。
 
 
【資料1】
【資料1】
 
   また、同社は、現社長のご両親と現会長(現社長の兄)の3人で創業されました。現社長の強力なリーダーシップで、家業生業型経営→企業的家業型経営→同族型企業経営と誘導し、現在、オーナー型企業経営という形態に入っています。この段階を、今、同社は第二創業期として、「老壮青の世代交代」をテーマにしています。強力なリーダーシップを発揮して、会社をひっぱってきた社長が、この経営方針発表会の催しで、全従業員に訴えるのです。「もう10年もたてば、私も会長ももうこの世にはいない。副会長だっているかわかりません。残された君たちで何とかしないといけないんだぞ!いつまでも、私たちに頼るな!」と従業員に自立性と自律性を求めるのです。
 


(2) 「目標管理・指切り面談」のロールプレイング

 「指切り面談」とは、部下と上司が目標設定で合意されますと、「握手」ではなく、「指切り」でお互いが「誓約する」制度です。
 この経営方針発表会では、同社で導入したばかりの「目標管理制度・指切り面談」の社員による寸劇が行われました。ただシステムとして、どう動かすのかではなく、どうやって上司と部下で目標設定をしていくのか、また、どうやったら達成できるか、良い例、悪い例の寸劇を通し、ビジュアル的にも効果的にするように、セリフにあわせて装飾したパワーポイントも連動して行われていました。いわば、「制度」の目的を果たすための「仕掛け」なのです。
 


(3) 慰労会のコレクト&エラー

 そして、盛り上がったのが、慰労会でのクイズ形式のコレクト&エラーでした。掲げられた経営理念など、「さて、この中に間違いがあります。どれでしょう!」という間違い探しに、まず手を上げたのが、何とパートの方でした。同社では、社員からパートまで全従業員に経営理念から経営方針・目標に至るまで浸透しているのです。パーティーですので、 社長も容赦なく、司会者に回答を求められます。
 
 

 【資料2】アルケア経営理念

1. わが社は、医師・看護婦・患者・そして健康を希む
すべての人々に、最高の品質と安全性を保証し、最良のサービスを提供する。

2. わが社は知識を深め発想を広げ、創意工夫を実践する。

3. わが社は付加価値を重視し、高い生産性を追求する。

4. わが社は個人の発想を尊重し、活力あふれた企業文化を創意する。


 



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