地域密着経営の勧め ―景気動向調査を読んで―
 

1 はじめに


 この「緊急景気動向調査アンケート集計結果報告」(以下、単に「報告」という)から、様々なことを読みとることができる。その中でも最も重要なことに絞って述べることにする。

 結論
  1. 本報告は、平成12年の9・10・11月の売上高と平成13年のそれとを比較して、マイナス16.1ポイントであるというこれはきわめて危険な状態である。
  2. このまま推移すれば、赤字が続き、今まで蓄積してきた財産を食いつぶすか、借入金のある店では、その返済ができない状況になる可能性がある。
  3. 因みに私が関与しているすし店(全国的にある)111店の平成13年度9月・10月の前年度比は、既存店の伸び率は平均100.4パーセントであり、この時期は一息つけた状態であった。
  4. この苦境を打開するには、「地域特性」を考慮した手を打つことにある。

 理由
  1. 本報告は、地域特性の特徴を、顕著にしめしていると思う。
  2. 中央ブロックは、オフィス街。城東と三多摩は住宅街。城西・城南・城北は商店街に店を多く持っていること。
  3. 第二位の立地は、住宅街(中央・城西・城南・城北)と、商店街(城東・三多摩)であること。
  4. 店の休日は、商店街や魚河岸の休日に合わせていることが推計されること。
  5. 中央ブロックは、場所柄売上高が、他と比較して高いこと。城北は1、500万円以下の売上高が40.7%しめていることなど。



2 地域密着経営の勧め

 1 オフィス街立地経営の留意点
  1. ランチ対策 ビジネスマンたちが、昼食時一斉に食事に出る。店で召上がるためには待ち時間は禁物。あらかじめ作りだめをしておき素早くお出しすること。お持ち帰りの準備をしておくこと。容器はワンウエイでよいが、会社に持ち帰るのだから、手提げ袋はコンビニエンスのとは差をつける。
     メニューは定番と日替りを置く。女性客には見た目のきれいさを訴求する。若い男性にはボリュームを。
  2. 出前対策 町場の出前とは違い、オフィスでは、会議、来客接待、行事、部内でのコンペ(慰労会など)、残業時食事等が出前対象となる。特に行事などは、開催する日時などは、あらかじめ計画されているので、それをつかんで、逃さぬことが肝心。
  3. 小宴会対策 これも、定時性と突発性がある。定時性というのは、一年の中で、ほぼきまって行なわれるものをいう。突発性は、オフィスの事情で突然行なわれるものだが、それも、当日でも早目にご連絡をいただくようにする。そのためには、お店の方から小宴会の予定の有無の確認とお誘いが必要である。小宴会には、飲物、たとえば日本酒の特徴ある銘柄を用意することと、すし会席的メニューの用意が必要となる。
 2 住宅地立地経営の留意点
  1. お客様対策 住宅街立地店においては、お客様カードを作成し、お名前、住所、電話、FAX、メールアドレス、家族名、誕生日、結婚記念日、勤務先、学校、お好きなもの、嫌いなもの、その他をしっかりと記録して、機会あるごとに、お店からメッセージを送ることである。これを欠かさぬこと。
  2. メニュー対策 お子様や高齢者を考えて、量や食べやすさ、そして飲み込みが容易であることを考えること。デザートは一工夫、二工夫して自店の独自のものを用意すること。食材にこだわること。産地を特定して入手した食材で料理をして提供するなど。
  3. アルコール対策 左党にとってはなにかにつけてアルコールは欠かせないもの。道交法の改正により飲酒運転に対する処罰が厳しくなるので、安心して飲食していただくために、お店の乗用車でお迎えと、お送りをする。お客様は近場にお住いの方が多いのだから、時間はかからないはず。
 3 商店街立地経営の留意点
  1. 定休日対策 商店街の一斉休日に、自店の休日を合わせるのではなく、自店のお客様に合わせて定休日をとること。事と次第によっては、定休日を少なくするか、あるいは返上をする必要があり、お客様のご要望に合わせること。
  2. 競合店対策 同業のすし業よりは、居酒屋、召上り型ファーストフード店、今様の洋食店等々をマークする。商店街立地のすし店は、一般的には二階には和室がある。もっとも照明は、原則として明るい方がよい。この和室は、他業種の飲食店にはないすし店の特徴である。横にもなれる。間仕切りで、自分たちの空間がもてる。ただ座るのが苦手な人たちのために薄い座布団よりもクッション的腰高の用具を置く必要もある。
  3. メニュー対策 商店街立地では、惣菜物販店を注意しよう。女性の(男性もそうだが)買い求めている惣菜をつかみ、それを単品メニューとして和風にアレンジをして提供するとよい。野菜サラダであれば、和風ドレッシングが決め手になる。中には煮物、焼物など日本料理の場合もある。自店では温かいものは温かく、冷たいものは冷たく提供すれば優位に立てる。また洋食メニューであれば、思い切って自己流にその売れ筋メニューを導入することだ。西洋風なのか、東洋風なのか、日本風かわからなくても、おいしければ目玉商品になる。
  4. 販促対策 様々な方策があるが、ここでは「お客様にお客様をご紹介していただく」と方策を述べておこう。親しくなったお客様にお願いして、お客様をご紹介していただく。「○○様からご紹介いただきました。当店の特徴は○○です。○○様は、きっと貴方様なら気に入るはずだとおっしゃって下さいました。是非ともお越し下さい」といった主旨でご案内をする。この場合、最も大事なことは、この両方のお客様に、本当に満足をしていただけることである。その力がなければ逆効果になってしまうだろう。

3 おわりに

 どんな手を打つにせよ、お金がかかるし、そのお金は、捻出しなければならない。食材のコストはもちろんのこと、場合によっては経営者の報酬を削ることも出てくる。あらゆる費用を、この目的は何か。その目的は果たしているか、と一項目ずつ検討するのである。そのようにして削ったお金を、先に述べた事項のうちで、当店はこれをやろうというものに投入する。
 良い方向にむかって行動すれば、必ず良い方向の結果は出る。行動なくしては、打開することはできないと思う。

Copyright(C) 2002 渡辺英幸

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