年末年始休暇を控えて再点検しておきたい
留守中オフィス・工場の保全チェックリスト
 

ことしの年末と来年の初めにかけては、会社によっては12月28日から1月5日まで9日間の長期にわたる休日となる可能性があります。長期の一斉休暇を前に総務担当者が行なうべき準備と再点検をしたい防犯・防火、保全対策についてまとめます。


郵便物の受取りや留守番電話などの対応を


●社内チェック事項
 社内には年末年始前後の具体的な業務予定を通知します。大掃除の日程のほか、会社の仕事納めの日の最終時刻や初出の日の出勤時刻も周知します。12月第三週の週末の一日を社内清掃日に充てて大掃除を行ない、そこで出た大量のゴミは直ちに業者等に引き取らせ最終日は小さなゴミの処理だけで済ませている会社もあります。
 年末・年始の挨拶回りの訪問先や担当者、スケジュールを決め、持参するカレンダーや手帳などの物品の手配も行ないます。新年の挨拶用名刺には「謹賀新年」の文字を印字しておきます。
 郵便・宅配・新聞の留め置きも依頼します。郵便物の局留めの取扱いについては、事業所の配達を管轄する郵便局へ「不在届」を提出すると、届出の期間中(最高30日間)郵便物を預かってもらえます。
 また、近年、社内で保管する各種データの多くが電子化されています。危険分散のため、データ保管サービスを行なう業者(倉庫会社など)に、データのコピーを預けることも考えておきましょう。
●対外的なチェック事項
 取引先や顧客に対しては遅くとも12月初旬までに会社の休暇期間を通知します。注意すべきは休暇期間中の顧客や一般消費者からの苦情、問合わせへの対応です。休暇期間中に電話等による受付を行なわない会社では、ホームページで休暇の期間を告知したり、重要な顧客には郵便でお知らせするなどの手を打っておきましょう。
 休暇期間中の電話での照会に対しては、休業である旨を伝える留守電メッセージを用意します、電話をしてきた顧客には用件を録音してもらい、業務開始時、速やかに対処します。留守電の録音用テープは長時間対応できるものを用意しましょう。
●工場における仕掛品等の扱い
 工場では、長期休暇期間中に仕掛品や半製品が残留しないよう計画を立てます。生産工程の中に半製品などが長期間滞留することは生産設備の不具合の原因にもなり製品の品質上の問題が生じます。
 半製品を残さないためには、工場の生産活動を12月最終週には完了するよう調整します。そのためには、次の事項を早期に確定することが必要です。
1 どの製品を、いつまでに、どのくらい生産するかを定める
2 各職場(工程)の能力の最適利用を図る
3 材料部品の品種仕様と必要数量及び所要時期を指定する
4 機械設備・治具・工具などの所要数および所要時期を指定する
5 必要な労力を確保する
6 外注品の品種・仕様と必要数量および所要時期を指定する
 受注生産などで、長期生産計画が確定し難しい場合でも、目的と需要の特徴に応じて、工程ごとの生産実行計画を進めて、全体の生産計画の調整を行なってください。
 最終的に仕掛品や半製品が残ってしまった場合には、休暇期間中の盗難防止、火災その他の災害による滅失防止はもちろん、変質・虫鼠害の防止を万全としなければなりません。そして、新年の操業開始時に直ちに生産工程に載せられるよう、冷蔵倉庫、低温・除湿保管庫に収蔵するなど、品目別に定められた管理方法によって厳重に保管します。入り口に防虫網を張る等の対処も必要でしょう。殺菌灯を用いる会社ではそれが正常に機能するかどうかも確認しておきます。機械、装置、治具・工具類もきちんと保管して性能を保持し、新年の生産活動に支障をきたさないようにします。
 操業開始をスムーズにするためには資材管理も重要です。仕事を再開したときに、原材料、包装材料などの資材が不足することがないよう手配しておきます。また、環境管理上、排水の浄化装置、その他公害防止設備が正常に作動するかも点検しておきましょう。
●万一の場合の対応
 休暇期間中にはどんな緊急事態が発生するかわかりません。会社の危機管理体制を再点検すると同時に、緊急連絡網を確認しておきます。幹部社員(原則として管理職)や非常時の要員となる社員が旅行等で自宅を四八時間以上離れる際は、事前に連絡先と連絡方法を総務担当者へ届け出ることを義務づけている企業もあります。
 万一、事業所に事故が発生したときには、素早く情報を察知すると同時に緊急連絡網にしたがって社員を動員します。救急措置、警察、消防署への連絡の必要があれば、第一に行ないます。すべての事故は初期対応が重要です。どこで、何が、どのように起こったのか、事故の内容と実態を正確に把握し、早急に対策を立てます。


防犯対策の基本はカギを二重三重に管理


●休暇期間中のカギの管理
 工場やオフィスのカギは二重、三重の管理を行なうことが原則です。書類の保管庫にはカギをかけたものの、そのカギを錠のかかっていない机の引出しに入れるなどは論外です。すべてのカギはキーボックスに保管し、このキーボックスをさらにロックします。
 事務所、工場、倉庫の出入口のカギは、警備員など休暇期間中事業所を管理する担当者が常駐する場合、そこでカギを保管します。休暇期間中無人になる事業所では事業所の責任者がメインのカギを保管し、この期間中に勤務を許された社員には予備のカギを預け、そのカギの管理を委任します。事業所内の各室、保管庫、危険物貯蔵庫、劇毒物など特殊品保管庫のカギはそれぞれの部屋または保管物の取扱責任者が管理し、責任者の許可がなければカギは開けないようにします。
●侵入防止
 事務所荒らしへの第一の対策は侵入防止です。これに対しては、機械警備による侵入の早期発見・通報システムも有効です。警備員などの管理責任者が常駐しない事務所では交替で日直に当たることも計画すべきです。
●事務所の内部
 事務所全体をカバーできるセンサーを配置して、機械警備システムを導入するのが望ましいですが、少なくとも重要書類の保管場所付近には録画装置付きの防犯ビデオカメラを設置します。しかし、防犯カメラが侵入犯をとらえても肝心のビデオデッキにテープが入ってなかったという愚は絶対に避けなければなりません。
 長期休暇中に、機械設備の保守点検等のために出入りする者に対しては、たとえ社員であっても厳重な管理が必要です。社内に立ち入る際は、事前に届出をさせ、許可制にします。社員が単独で休日出勤することは、認めるべきではありません。
●駐車場
 駐車場での防犯は、自動車の盗難防止と車上荒らしの防止です。自社駐車場はもちろん契約駐車場でも、防犯対策が必要です。
 日頃から駐車中の車輛に、書類や得意先からの預かり品等は放置しないよう指導し、長期休暇中は車検証も置かないようにします。また、エンジンキーを抜くことはもちろん、ハンドルロックやドアロックを確実に行ない、より厳重にするなら、バッテリーの端子を外しておきます。
 駐車場自体への対策としては、監視カメラ・防犯ビデオを設置する、夜間駐車場全体の照明を行なうなども効果的です。自動車の窃盗に失敗した犯人が腹いせに、自動車に傷をつけたり、タイヤをパンクさせたり、さらには放火したりする例もあります。使用後のウエスなど、燃えやすいものは置かないようにします。


休暇中、使わない機器の電源をオフに

 長期休暇中の事務所で留意すべきは漏電による火災です。休暇前は必ず事務所内の機器の電気系統を点検します。原則、ファクシミリ等の通信機器は電源を切らず、休暇中不要な電気製品の電源は、コンセントから抜いておきます。
 ●社内の点検
 休日を迎える前に、自社内の防火対策を再点検します。社内の廊下、通路、出入り口、階段などに燃えやすいものが放置されていないか、火気使用設備器具の周囲に可燃物がないか、消防設備士・消防設備点検資格者がいれば消火器、スプリンクラー、屋内消火栓、自動火災報知設備、動力消防ポンプなどの機能を点検します。
 一人一台パソコンが配置されるオフィスでは、OA機器の配線が入り込み、向かい合った席の間にケーブルが絡んでホコリやゴミが溜まりがちです。コンセント付近を清掃しケーブルを整理して、発火点とならないよう注意します。
●工場の防火対策
 工場には機械設備を始め、様々な危険物や着火物となりやすいものが収容されています。
 休暇前には、誤作動を起こすことがないよう、生産機械設備の電気系統などの点検をします。
 また、工場においても、放火や放火の疑いがある火事は少なくありません。周辺の整理整頓を行ない、工場内の可燃物の撤去を徹底します。さらに、危険物貯蔵所にある危険物の保管状況を点検し、施錠も安全にします。
●工事を行なう際の防火対策
 長期休暇を利用して事業所内の保守点検、補修工事を行なう会社もありますが、この工事中に火災が発生したケースがあります。工事人が火気を使用する際に遵守するべき事項(かこみ参照)を定め、火災予防の万全を期します。
 これらの事項は文書の形で工事人に伝え、万一、遵守事項不履行のため事故が発生した場合は、損害賠償を求めることも明らかにしておきます。なお、工事期間中は社内の担当者も監視のため立ち会うべきでしょう。

 ■工事人に遵守させるべき事項

(1)火気を使用する工事では、作業計画を会社の防火管理者へ提出し必要な指示を受けること
(2)火気を使用する作業は消化器等を配置すること
(3)指定された場所以外での喫煙、たき火を行なわない。また、事業所屋内は禁煙のこと
(4)危険物類の使用はそのつど会社の防火管理者の承認を得ること
(5)火気管理は作業場ごとに責任者を指定して行なうこと

 休暇前の社内・社外業務チェックリスト

●社内の業務
□社内には年末年始の業務予定を明確に示しているか
□仕事納めの日の終業時刻や仕事始めの日の出勤時刻を周知したか
□賀詞交歓会の準備はしてあるか
□廃棄物は定められた方法で廃棄するよう周知したか
□ゴミは分別して定められた時刻までに集積場所へ出したか
□年末・年始挨拶のスケジュールを確定、通知してあるか
□年末・年始挨拶に持参する物品は手配してあるか
□年始挨拶用の名刺は「謹賀新年」の文字を印字してあるか
□郵便、宅配便、新聞の留め置きを依頼したか
□バックアップデータを安全なところに保管してあるか
□休暇中の出勤の申請、許可、出退社の手続きは明確か
●対外的な業務
□休暇期間について関連会社、取引先、顧客に連絡したか
□休暇期間中の顧客対応について手順は確定しているか
□留守番電話のメッセージは用意したか
□留守電の録音機能を点検したか、録音テープは十分にあるか
□ファクシミリの受信用紙の枚数は十分か
●工場では
□半製品が残っていないか(残らないように調整したか)
□工具や設備をきちんと管理しているか(メンテナスは十分か)
□半製品が残った場合、その管理が万全か(各製品に適合した変質・虫鼠害対策はとられているか、盗難防止策は)
□新年の操業開始用の原材料、消耗品などは十分確保したか
□排水の浄化装置、その他の公害防止設備は正常に作動するか
●万一のための備えとして
□緊急要員の携帯電話番号は関係者全員に通知されているか
□幹部社員の休暇中の連絡先は関係者全員に周知したか
□休暇期間中の社員連絡網は再点検したか
□通報後、責任者が会社へ到着する時間は把握できているか
□緊急時における各担当者の役割分担は周知されているか

 防犯対策チェックリスト

●工場・オフィスの防犯
□事務所内のカギ、特にマスターキーの管理は万全か
□保管庫・危険物貯蔵庫等のカギの管理は万全か
□休暇中出勤する社員がいる場合、カギの管理について確認したか
□ドア、窓、その他開口部に破損個所はないか
□建物の外壁付近に侵入を容昜にする足場になるような物はないか
□機械警備のセンサー、配線などに異常はないか
□事業所構内の機械警備は完全に作動する状態になっているか
□防犯灯および警報装置の作動に問題はないか
□防犯機器は容易に破壊または除去される危険はないか
□防犯ビデオ、カメラの作動に異常はないか
□防犯カメラの録画テープは十分か
□金庫の破壊または盗難に対する対策を講じているか
□印鑑保管庫・手提金庫は机上などに置かず大金庫に収納したか
□休暇中出勤する予定の社員は把握しているか
●駐車場の防犯
□車輌に書類や得意先からの預かり品などの物品を放置していないか
□車検証を入れ放しにしていないか
□車輛のハンドル・窓・ドアのロックは完全か
□車輌のエンジンキーの管理は万全か
□外部からの駐車場への侵入防止策はとっているか
□駐車場に燃えやすいものはないか
●警備会社との連携
□警備会社との打合せを行なったか、契約に不備はないか
□警備会社と自社のオンライン設備の点検は行なったか
□警備員が会社に常駐する場合の人員、交代時間は記録しているか
□異常発生時の警備委託会社から社員への連絡方法は確認したか
□巡回警備を実施する事業所の巡回経路、記録は管理されているか
□委託警備に関して業務内容が的確に実施されているか
□施錠するべき扉、開放される扉を警備員が把握しているか
●仕事納めの日の最終チェック
□カギはキーボックスに入れ、キーボックスのカギは締めたか
□出入口、窓、その他の開口部の施錠は完全か
□シャッターの錠は締めたか、電動式シャッターの電源は切ったか


Copyright(C) 2002 越智訓男

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