変動昇給型賃金制度という考え

賃金シートを参考にすると便利ですが、各社で事情が様々ですから、弊所では賃金表を作成しない、会社業績に応じた昇給、降給を行える「変動昇給型賃金制度」(弊所客員研究員 藤永伸一考案)もご提案しています。

経済環境が激しく変化している中、賃金表に基づいて定期昇給を行う職能給制度で、人件費負担が重くなってしまった。また、事業継承時期を迎えた企業経営者の方が、次世代後継経営者のために人事制度を整備しておこうという企業にもお薦めです。

この制度の特徴は、

1.賃金表を作らない。

賃金表を使うと昇給額はあらかじめ賃金表に定められた範囲内で変動しますから、賃金表が書き換えられない限り、同じ評価(評語)であるならば同じ昇給額になるので、昇給の仕組みは固定的になります。変動昇給型賃金制度ですと、賃金表を作らないため業績に連動させてダイナミックに昇給を行なえます。

2.会社業績に連動した昇給・降給を行える。

変動昇給型賃金制度ですと、会社の業績を直接反映させるものなので、企業の業績が良い場合は昇給額が大きくなり、逆に悪化した場合には降給もあり得るということになります。

3.同じ評語でも、昇給額は毎年変動する。

昇給は、通常、個人の評価結果に基づいて行います。一般的には評価点数や評語によって評価結果を区分します。賃金表を使う昇給制度では、この評価結果を賃金表に照らし合わせて昇給額を決めますが、会社業績が良くても悪くても賃金表で定められた昇給が行われることになります。変動昇給が賃金制度では、同じAという評語であっても昇給額が毎年変わるわけです。

4.源資に応じて昇給額が決まるので、企業の資金繰りなどに無理がかからない。

5.また、この制度は能力に応じたランクを設定するので、人材育成にも活用できる。

ランクとは自社におけるあるべき人材像(期待する能力要件)を描いたもので、あなたの企業が、期待する人材にいくら賃金を支払うかを決める基本になります。

導入にあたっては

1.ランクの設定・・職種別・部門別に求められる人材要件を書き出します。

2.賃金レンジの設定・・ランクごとに賃金レンジを設定します。職能等級制度や職務等級制度の設計においても賃金表を作成するに当たっては同じような設定をしていると思いますが、ただし、この制度はあくまでレンジを設定するだけで、それをさらに細分化した賃金表までは作成しません。その分、業績に連動させて動かせるわけです。

昇給は、

1.昇給源資の計算 

従来の考え方の逆で、社員個々の昇給額を予め算出された昇給源資から、個々の評価結果に応じて割り当てます。

2.評価点の集計

評価結果を点数に換算して全社員の点数を合計します。

3.一点単価の計算

昇給源資と全社員の分を合わせた評価点が集計できたら、この2つの数値から1点当りの単価を計算します。

4.個人別昇給額の計算

この1点あたりの単価から個人別の昇給額を逆算する

というステップで行います。

変動昇給型賃金制度は、業績に応じて社員個々の昇給額を計算するので、

大企業よりも中小企業に適した制度といえるでしょう。

4月1日から施行される改正パートタイム労働法でも、通常の労働者との違いに納得がいかない場合、賃金の決定方法についてのきちんとした説明義務が企業に生じるようになりますが、賃金制度の運用は、社員にわかりやすいということがポイントであり、引いては、それがモチベーションアップにもつながるでしょう。

      X会社業務研究所 取締役研究員 松浦なつひ

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