「就業規則に記載する内容」
経営の考え方や労働条件を

就業規則は労働協約とは異なり、労働者との間での協議を必要としません。会社側の一方的な考え方に基づいて作成することができます。ですから、その内容をどのようなものにするかは基本的には自由です。

もともとは、組織の秩序維持を目的として作成されるようになったものですから、当初は服務に関する事項であるとか、懲戒に関する事項が主たる記載内容でした。
そこには、その会社独自の考え方が如実に現れます。それぞれの会社が、どのような考え方で経営を行うのか、どんな労働条件を設定するかが、就業規則の中に表現されているということです。
ただ、これだと労働者にとって不利益な内容が定められるおそれがあります。そのため、現在は労働基準法によって記載内容にも一定の規制が設けられています。また、労働基準監督署への届け出にあたっては、記載内容についての意見を労働者を代表する者から聴取することも定められています。

●法律で定められた記載事項

労働基準法では、就業規則に記載する事項として、無条件で必ず記載しなければならないもの、定めを設ける場合に記載しなければならないもの、の2つを規定しています。これに反する就業規則は、届け出にあたって労働基準監督署で受理されません。

必ず記載しなければならないもの

就業規則の作成にあたって必ず記載しなければならないのは、1)始業及び終業の時刻、2)休憩時間、3)休日、4)休暇、5)労働者を2組以上に分けて交替で就業させる場合の就業時転換に関する事項、6)賃金の決定、計算及び支払の方法、7)賃金の締め切り及び支払いの時期、8)昇給に関する事項、9)退職に関する事項、です。
この中では、始業と終業の時刻に注意する必要があるでしょう。始業と終業の時刻が記載されていない就業規則は意外と多いものです。
例えば「労働時間は週40時間、1日8時間とする」とだけしか規定されていなかったりするのです。

確かに、これは法定労働時間内ですから、それ自体に問題はないのですが、何時に始まって何時に終わるのかが記載されていません。
したがって、労働基準法に定められた内容が満たされていないということになるのです。就業規則の作成にあたっては、こうしたことのないように注意しなければならないでしょう。

◆定めがあるときに記載すべきもの

前項で掲げたものは、無条件で記載が求められるものです。それに対して、自社において定めがあるかないかで、記載すべきかどうかが決まるものもあります。これは、1)退職手当に関する事項、2)臨時の賃金及び最低賃金に関する事項、3)食費、作業用品その他の負担に関する事項、4)安全、衛生に関する事項、5)職業訓練に関する事項、6)災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項、7)表彰、制裁の種類と程度に関する事項、8)その他労働者すべてに適用する定めに関する事項、です。
このような定めをするのであれば、就業規則へ記載しなければなりませんが、自社において定めがなければ、記載の必要はないということです。ここで分かるように、退職手当は自社において制度がある場合のみ適用されるということになります。つまり、退職手当は法的に支払い義務があるものではないということです。

◆自由に記載できるもの

そのほかについては、どんな内容であっても法律に反するものでなければ自由に記載できます。
例えば、就業規則に関する考え方を前文として記載することもあるでしょうし、規則で使う用語の定義を
行うこともあります。前述したように、会社の経営方針に関する内容を服務の規定の中に盛り込むこともあります。要は、就業規則をどのように位置づけるかによって記載内容も変わってくるといっていいでしょう。


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